LDL-コレステロールや中性脂肪が高いといわれた方へ
健診で、LDL-コレステロールや中性脂肪が高い(以後高脂血症と表現)といわれた方の中には、現在自覚症状はないので何も問題ないと思われている方もあるかと思います。
しかし、アナウンサーの徳光さんが高脂血症を放置されていて、心筋梗塞症になられたのは有名で、その後徳光さん自身も高脂血症を放置しておくのは危険だと判断され、テレビで広報活動されているのを一度は見かけられたことがあるでしょう。
高脂血症の状態を放置しておきますと右図のように血管が少しずつ閉塞していきます。
- 動脈硬化がはじまっていない正常な血管です。
- 軽度の動脈硬化がはじまっていますが、心電図にはまだ所見のない状態です。
- 自覚症状はまだ出現しませんが、動脈硬化は進行しており、心電図に虚血性心疾患などとよばれる異常が出現している状態です。
- 動脈硬化および動脈閉塞がかなり進んで、自覚症状として狭心症の症状が出現している状態です。
- 完全に動脈閉塞を生じた状態で、心筋梗塞と呼ばれます。

この経過中に④の程度まで動脈硬化が進行し狭心症症状が発生して皆さんはじめて自分に起こっている状態を自覚されますが、この血管の変化はほぼ一方通行ですので、以後いくら薬を大量に服用されても治療後の進行を抑えるだけで、血管の状態を改善することはむずかしいです。また、狭心症の症状が出ずに、突然心筋梗塞を発症される方もおられます。
心筋梗塞症を発症されますと、死に至る危険性もあり、また、一命を取り留められたとしても、逆三角すいの三つの面にある心臓の筋肉の一面以上が働かなくなるために、心臓の血液を押し出す効率は非常に悪くなり、日常生活に制限が加わることも起こります。
健診で異常を指摘された方は、まず疾患の重要性を認識して頂けたらと思います。
健診結果により、薬による治療が必要であると理解されたとしても、自覚症状がない状態で継続して薬を服用するために定期的に医療機関を受診するということは非常にむずかしく面倒なことと思います。
しかし健康な状で長生きできるためにも、継続して治療することを一考してください。
初めて異常を指摘された方で、数値がそれほど高くなければ、もちろん食事・運動療法を 3 ヶ月ほど行われて再度測定された上で判断されたらよいでしょう。
ただ、 3 ヶ月後に受診されることを忘れてしまうと、次回受診されるまで動脈硬化が進行してしまいます。
治療が継続できるかどうかは、患者さんの意志によりますが、医師としては治療が必要な方(無投薬でLDL-コレステロールや中性脂肪が目標値以下にならない方)は継続して治療されることを希望します。
健診で異常を指摘された方は、治療を希望される方だけでなく、どうしようか迷っておられる方も、ぜひ当院にご相談ください。